みなさん、こんにちは!
やや久し振りの投稿となりました。
元教員Mです。
派遣の仕事でバタバタしており、しばらく勉強が出来ていませんでしたが、このまま知識が廃れていってしまうのは嫌なので勉強を再開。
河合出版『現代文と格闘する』に取り組んでいます。
今回はこの参考書についてレビューしていきたいと思います(^-^)
結論:授業に取り入れたい&生徒に勧めたい
結論、私はこの参考書が好きです。(笑)
まず、「格闘する」というタイトルが好きです。(笑)
なぜなら、現代文が出来るようになるには、一つ一つの文章と向き合い精読していく、難しい文章と正面衝突して闘い、理解していく必要があると思っているからです。
結局、読むしかない。
この参考書は、大学の二次試験で記述現代文が課されるような大学を受験する生徒に特におすすめです。
理系よりは文系向きですね。
理系の生徒にとっては、こってり重すぎると思われます。
(理系でも東大・京大を目指す生徒には取り組んでほしい)
高校3年生になるまでの間に、この読み方を血肉にできればかなり強いと思います。
ぜひ高校2年生の終わりまでにしっかり取り組んで欲しいなと思います。
また、この読み方は授業に取り入れていけば確実に生徒に力をつけていける方法だと思いますので、現代文の教え方に悩まれている若手の教師が勉強として取り組むにも最適の一冊だと思います。
ただ正直、国語が得意な人の感覚では、恐らく当たり前じゃん?ということしか書かれていません(笑)
だけど、だからこそ、この当たり前を繰り返していくしかないのだな、と思わされます。
現代文読解の基本
まずは、本書で説明されている現代文の読み方について触れておきます。
いずれも、かなり基本的な内容となっています。
『現代文と格闘する』で説かれている現代文の読み方の基本は
「読みつなぐ」です。
評論も小説も、「読みつなぐ」ということをキーワードに読み方が説明されています。
評論文の読み方
基本的な読み方のポイント
基本は
①部分から全体を読みつなぐ
②全体から部分を読みつなぐ
と説明されています。
①一文一文の内容⇒各形式段落の内容⇒意味段落の内容⇒全体の内容
という風に理解していく。
この時に、段落同士の関係を考えていくことも大切です。
前の段落の詳しい説明だ、とか、前の段落の内容の理由だ、とか、逆の内容だ、とかですね。
そして、②全体⇒部分に関しては
全部読んでみたらさっきよく分かんなかったあの一文の意味が分かった
みたいなことですよね。
とにかく、全体を「つないで」いくことが大切。
結局文章は、一文一文の「つながり」というわけです。
そしてより細かい大事な内容の掴み方として、
①具体と抽象の読み分け
②強調語に注目
③繰り返される語句に注目
①抽象的なことが書かれている部分が、筆者が言いたいことの中心的内容(まとめ)となります
②~こそ、特に~、~しなければならない、重要なのは~、など
挙げればきりがないですが、このような強調語が使われている一文は重要な一文としてマーク。
③繰り返し使われている=重要な語句(キーワード)ですね。
読解の際にするべき作業
この面倒な作業を自分でするかしないかによって、読解力の違いが出てくるでしょう。
参考書って、手っ取り早く得点上げる!みたいなイメージがありますが、
はっきり言ってこの参考書は真逆ですね。(笑)
めちゃくちゃ面倒なことを要求してきます。
だけど、『現代文と格闘する』はそこが良いのです。(笑)
以下のような作業を毎回の授業でしっかり取り組ませれば、読解力がついていくでしょうね。
①形式段落ごとに、要旨をまとめたり短い見出しをつけてみる
②まとまりごとに、意味段落に分ける
③意味段落についても、要旨をまとめたり短い見出しをつける
④全文要約200字
これです。
①~④にはあげていませんが、前提として本文の重要な一文やキーワードにチェックを付けることは当然として行います。
すごくさらっと書きましたが、全部やろうと思うとしっかり読まないといけないし、
慣れてなければめちゃくちゃ時間がかかります。
私は国語教師を5年やっていましたが、どちらかというと古典の人間なので
こういう作業はかなり時間がかかることは、すごく理解できます。
だけど、このような面倒な地味な作業を繰り返すことが、読解力の向上に直結しています。
小説の読み方
基本的な読み方のポイント
小説の読み方として解説されているポイントは、評論文よりもかなりシンプルです。
背景⇒場面⇒出来事・心情(の変化)を読みつなぐ
というのが全てです。
①背景=時代・場所・人物関係など
リード文や注もしっかりチェックする。
②出来事と関連させて中心人物の心情・そしてその変化を読みとる
③場面の変化・転換と全体の構成をつかむ
非常にシンプルです。超基本的です。
特に大事なのが②ですね。
心情+引き起こされたきっかけ
を必ずセットでおさえていかなければなりません。
読解の際にするべき作業
①各場面ごとに、出来事と心情をまとめる
②全体を200字でまとめる
これも、前提として心情が書かれている部分に線を引くなどは行ってください。
各場面ごとに、出来事と心情をまとめて、
その変化・推移を追っていければよいですね。
200字のまとめも、心情変化を書いていくのがポイントとなります。
おすすめポイント
ここまで、『現代文と格闘する』の基本的な内容に触れてきました。
そして、この参考書の魅力・おすすめポイントです。
☆解説がとにかく丁寧
その昔、私が高校生時代に国語の恩師に言われた言葉を今でも覚えています。
それは
「問題集は問題より解説が分厚いものを選べ」です。
この『現代文と格闘する』は、後半は実践的な問題集となっているのですが、
解説部分が問題部分の分厚さの三倍ほどあります!!(笑)
とにかく、解説のボリュームが多いのです。
この『現代文と格闘する』ではもちろん
・設問の解き方、解説
は丁寧です。
ですがそれ以外に
・本文への線の引き方の例
・本文の詳しい解説
・意味段落の要約
・本文全体の要約
・現代文における重要語の解説
など、とにかく細かく解説してくれています。
先ほど読解の際にするべき作業として、意味段落の要約や200字要約などをあげましたが、
それら全てを自分で点検できるようになっています。
ものすごく丁寧に文章内容・設問の解き方の解説をしてくれているので、高校生の自学自習には最適というわけです。
正直、私自身もかなり勉強になりました。
まとめ
今回は『現代文と格闘する』を紹介しました。
いつもいつも思うのですが、結局現代文の習得に近道はないんですよね。
もちろん解法としてのテクニックはあるのだと思いますが、結局それだけじゃなんともならない。
「読む」ということを徹底的に求めてくるこの参考書に、非常に共感し好感を持ちました。
では、またいい参考書があればレビューしたいと思います!